日本外科系連合学会誌
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症例報告
術前CTで診断し腹腔鏡下手術にて治療しえた子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例
清水 孝王遠藤 和彦
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2009 年 34 巻 5 号 p. 974-978

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抄録

 子宮広間膜裂孔ヘルニアは子宮広間膜の欠損部に小腸が嵌入して生じる内ヘルニアで,手術既往歴がない腸閉塞症例のなかに,稀にみられる疾患である.今回われわれは,術前にCTで診断を行った後に,腹腔鏡下手術を施行した症例を経験したので報告する.症例は43歳,女性.手術既往歴がない腸閉塞の診断で入院した.腹部CT検査で左側の子宮広間膜前後に腸管を認めた.術前に子宮広間膜裂孔ヘルニアを疑い,腹腔鏡下手術を行った.術中,腹腔鏡下では,嵌入していた回腸が整復しえず,下腹部に約5cmの切開を加え,子宮広間膜の裂孔を切開,開大して,嵌頓腸管の狭窄部位を解除し,腸管切除を行わなかった.子宮広間膜裂孔ヘルニア嵌頓症例は,術前診断が難しく,嵌入腸管の血行不良のため腸切除を要することが多い.本症例のように術前にCT診断ができれば,腹腔鏡下手術は低侵襲で有用な治療法であると考えられた.

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© 2009 日本外科系連合学会
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