日本外科系連合学会誌
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症例報告
上行結腸癌に合併した上腸間膜動脈症候群に対して外科治療を行った1例
富岡 寛行齊藤 修治絹笠 祐介塩見 明生橋本 洋右金本 秀行坂東 悦郎寺島 雅典上坂 克彦山口 茂樹
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2010 年 35 巻 1 号 p. 100-104

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抄録

 患者は55歳,女性.右下腹部痛,嘔気,嘔吐および1年間で14kgの体重減少を認めた.上行結腸に4cm大の2型病変を認め,上行結腸癌cSS,cN1,cH0,cP0,cM0,cStage IIIaと診断した.また腹部造影CTにおいて,十二指腸の下行脚から水平脚が著明に拡張し,上腸間膜動脈と大動脈のなす角の狭小化,十二指腸が通過する部分での上腸間膜動脈と大動脈間距離の短縮化を認めた.上記CT所見に加え,臨床所見,現病歴から上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)と診断した.手術は上行結腸癌に対する開腹右結腸切除と同時に,SMA症候群に対する十二指腸空腸吻合を施行した.術後SMA症候群由来と考えられた症状は消失し,術後補助化学療法の早期開始が可能であった.腹部手術を行う担癌患者に合併したSMA症候群に対しては,外科治療が良い適応となる可能性がある.

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© 2010 日本外科系連合学会
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