日本外科系連合学会誌
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症例報告
Core needle biopsyで正確に術前診断しえた乳腺原発腺様嚢胞癌の1例
藪内 伸一中川 国利鈴木 幸正遠藤 公人小林 照忠武田 元博
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2010 年 35 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

 稀な乳腺原発腺様嚢胞癌(以下,ACC)の1例を経験したので報告する.症例は43歳の女性で,右乳房腫瘤を主訴として当科を受診した.右D領域に圧痛を伴う1cm大の腫瘤を触知した.マンモグラフィでは局所的非対称性陰影カテゴリー3の所見で,乳腺超音波検査では境界が比較的明瞭な低エコーの腫瘤を認め,内部エコーは不均一であった(カテゴリー3).穿刺吸引細胞診ではclass IIIで,針生検でACCと術前診断した.そこで,腋窩リンパ節郭清を省略した乳房温存手術と術後放射線療法を施行した.病理組織所見では,腺上皮細胞と筋上皮細胞からなるACCに特異的な篩状構造を認めた.ACCは全乳癌の0.1%未満と稀な腫瘍で,特異的な病理所見を呈する疾患である.また,ACCは低悪性腫瘍でリンパ節転移は稀とされ,術前診断は術式の決定に有用であった.

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© 2010 日本外科系連合学会
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