2010 年 35 巻 1 号 p. 45-50
癒着や腸回転異常症などに起因しない原発性小腸軸捻転症は,本邦では極めて稀な疾患である.今回成人原発性小腸軸捻転症の2例を経験した.【症例1】67歳の男性.突然の腹部激痛と嘔吐のため当院に入院となった.動脈血液ガスで代謝性アシドーシスと,腹部造影CTでwhirl like patternを認めたため,小腸軸捻転による絞扼性腸閉塞と診断し,緊急手術を施行した.回盲部より70cm口側で小腸間膜が反時計回りに180°捻転しており,壊死腸管を切除し経過は良好だった.【症例2】38歳の女性.腹痛を訴え,腹部造影CTで腹水と腸管拡張を認め,緊急手術を施行した.トライツ靭帯から1m90cmの部分より小腸が時計回りに180°捻転しており,壊死腸管を切除し,術後経過は良好であった.以上2症例につき文献的考察を含めて報告する.