日本外科系連合学会誌
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症例報告
両側多発すりガラス様陰影で発見された多発肺癌の1切除例
青山 徹前原 孝光安藤 耕平斎藤 志子益田 宗孝
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2011 年 36 巻 4 号 p. 600-604

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抄録

 症例は76歳,女性.喫煙歴・アスベスト曝露歴はない.2002年から膵嚢胞性疾患で当院外科通院中であった.膵病変に対する術前検査で,胸部異常陰影を指摘され当科紹介受診となった.胸部CT検査で,左S1+2,左S3(区域内に2カ所病変が存在),右S2に計4カ所のすりガラス様陰影(ground glass opacity:GGO)を認めた.CT上各病変の大きさは径19mm,26mm,15mm,18mmで,S1+2の病変はmixed GGOであったが,その他の病変はpure GGOであった.画像上各病変とも肺癌が疑われ,手術で根治切除が可能と判断し二期的手術の方針とした.2009年4月,胸腔鏡下左上大区域切除を施行した.摘出した病変は病理組織検査で肺癌(野口分類type C, type B)と診断された.2009年10月,胸腔鏡下右上葉区域切除術を施行した.病理組織検査上,同病変も肺癌(野口分類type C)と診断された.以上,稀な同時多発肺癌の1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本外科系連合学会
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