日本外科系連合学会誌
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症例報告
胃癌に対する胃全摘術後に肝機能障害との関連が疑われる腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,Span-1,DUPAN-2)偽陽性を認めた1例
高見 一弘阿部 友哉井伊 貴幸青木 泰孝神賀 貴大富永 剛
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2011 年 36 巻 4 号 p. 630-634

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抄録

 症例は59歳,男性.胃癌に対し胃全摘・脾合併切除術(D2)施行した.病理組織学的に中分化型腺癌でpT1(SM),pN0,pStage IAであった.術後1カ月頃からトランスアミナーゼの上昇を認め低栄養性脂肪肝による肝機能障害として経過観察していたが,術後8カ月頃から腫瘍マーカーCEA,CA19-9の上昇を認め,その後SPan-1,DUPAN-2の上昇も判明した.消化管精査やPET-CTなどを行うも胃癌の再発や膵胆道系の悪性疾患は否定的であった.化学療法も検討されたが厳重な経過観察の方針となった.術後21カ月より肝機能の軽快と上記腫瘍マーカーの減少を認め,術後26カ月の現在においても胃癌の再発や新たな悪性疾患の出現は認められていない.今回,胃癌術後に肝機能障害との関連が疑われた腫瘍マーカーCEA,CA19-9,SPan-1,DUPAN-2の偽陽性の症例を経験したので考察を加えて報告する.

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© 2011 日本外科系連合学会
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