日本外科系連合学会誌
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症例報告
胃切除後に低蛋白血症が速やかに改善した高齢者若年性ポリポーシスの1例
田島 雄介石橋 敬一郎芳賀 紀裕石畝 亨横山 洋三隈元 謙介宮崎 達也石田 秀行
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2011 年 36 巻 4 号 p. 635-640

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抄録

 高齢者若年性ポリポーシス(JP)の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は77歳,男性.頻回の嘔吐を主訴に前医受診.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部を中心に密生したポリープを認めたため,当科紹介となった.胃ポリープの生検では腺窩上皮の過形成と間質の浮腫を認めた.下部消化管内視鏡検査では,有茎性ポリープを下行結腸とS状結腸に認めたため,内視鏡的摘除を行った.組織学的所見では表層上皮の剥脱,腺管の嚢胞状拡張,間質の浮腫を認めた.以上よりJPと診断した.1カ月の保存的治療を行うも幽門狭窄様症状と低蛋白血症が改善しなかったため,幽門側胃切除術を施行した.術後速やかに低蛋白血症は改善した.1990年から2010年までに胃切除術また胃全摘術が行われたJPの報告例(会議録除く)は,自験例を含め18例(胃癌合併11例)であった.低蛋白血症を14例に認め,11例が術後速やかな改善を認めていた.

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© 2011 日本外科系連合学会
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