2011 年 36 巻 4 号 p. 658-664
症例は49歳,男性.既往歴,虫垂炎(保存的).検診で便潜血陽性を指摘され,大腸内視鏡で盲腸に粘膜下腫瘍様隆起を認めた.注腸検査で盲腸から上行結腸に腸重積を認めた.送気にて軽快したが,盲腸に壁外圧排像を認めた.CTでは盲腸から連続する嚢胞性腫瘤として,腹部超音波検査では壁の厚い類円形腫瘤とこれに連続する内腔が低エコーで管腔構造物として描出された.腫瘍マーカーは正常であった.虫垂粘液嚢胞腺腫と診断し2009年12月腹腔鏡補助下盲腸部分切除術を行った.経過は順調で術後5日目に退院となった.切除した虫垂は棍棒状(147×30×30mm)で淡黄白色調の粘液を内包し組織学的に粘液嚢胞腺腫と確診された.若干の文献的考察を加え報告する.