日本外科系連合学会誌
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症例報告
Components separation法により一期的に修復した腹壁瘢痕ヘルニア破裂の1例
金子 奉暁島田 長人本田 喜子甲田 貴丸白坂 健太郎三浦 康之今村 茂樹大島 陽幸瓜田 純久金子 弘真
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2011 年 36 巻 4 号 p. 707-712

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抄録

 腹壁瘢痕ヘルニアの合併症として,腹壁が破裂し腸管が脱出した症例に対しcomponents separation法(CS法)により一期的に修復した1例を経験したので報告する.症例は86歳の男性,下腹部正中創に横軸長約10cmの腹壁瘢痕ヘルニアを認めていたが,高齢で併存疾患が多いため,手術は行わず経過観察していた.しかし,起床時に腸管の脱出に気付き救急車で来院した.腹部は膨隆し,下腹部正中創腹壁瘢痕ヘルニア部の腹壁が破裂し,腸管が約20cm脱出しており,緊急で腹壁閉鎖術を行った.術式はCS法を用い,皮膚の閉鎖のみでなく,ヘルニア根治術を含む一期的手術を施行した.本症例のような術後感染症が危惧される場合は,原則として人工材料は使用できない.自己組織による修復術の一つであるCS法は手技も比較的簡便で比較的大きなヘルニア門でも修復が可能で,さらに汚染手術にも対応できる有用な術式と考えられた.

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© 2011 日本外科系連合学会
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