日本外科系連合学会誌
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症例報告
術前診断に苦慮した胆嚢癌の1例
本間 陽一郎木全 政晴江河 勇樹大月 寛郎
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キーワード: 胆嚢癌, 幽門狭窄
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2011 年 36 巻 6 号 p. 998-1003

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抄録

 症例は66歳,女性.主訴は1カ月前より心窩部痛.上部内視鏡で,胃内に残渣を多量に認め,幽門狭窄部からの生検で,中分化腺癌を認めた.腹部造影CTで幽門前庭部の肥厚,胃周囲のリンパ節腫脹を認めた.術前診断,胃癌(幽門前庭部,全周性,3型),T4a(SE)N1,stage IIIBとし,手術を行った.術中所見:肝床部に,十二指腸球部,大網が巻き込まれ,胆嚢癌と診断した.胆嚢床切除,幽門側胃切除,胆管合併切除を行った.胆管空腸吻合,Roux-en-Y再建と,残胃はBillrothII法で行った.切除標本では,胃幽門部粘膜に発赤,総胆管粘膜は正常であった.胆嚢癌s-Stage IVB S3(胃)Hinf2 Binf1 N2とした.十二指腸に直接浸潤し,粘膜下に胃幽門に浸潤する胆嚢癌手術症例を経験した.本症例は術前画像で萎縮胆嚢が指摘されていた.萎縮胆嚢である場合,胆嚢癌の可能性も考慮する必要がある.

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© 2011 日本外科系連合学会
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