抄録
目的:当センターにおける大腸癌術後の大建中湯内服の有用性について検討する.
方法:2009年4月から2010年8月までに当センターで大腸癌切除術を行った397例を対象とした.このうち術後に大建中湯を内服した63例を内服群,内服しなかった334例を非内服群として両群を比較,検討した.検討項目は,腸管蠕動不全の発生頻度,手術法別の腸管蠕動不全の発生頻度,在院日数,術後の炎症反応に及ぼす影響の4項目とした.
結果:大建中湯内服群で腸管蠕動不全の発生は有意に少なかった.また,腹腔鏡下手術において,内服群は同様に腸管蠕動不全の発生が有意に少なかった.術後在院日数は内服群が有意に短かった.術後第4病日と第7病日のCRPは両群間に差を認めなかった.
結語:大腸癌術後の大建中湯内服は腸管蠕動不全の発生を減少させ,術後在院日数の短縮に寄与する可能性があり,腹腔鏡補助下手術においても腸管蠕動不全の発生を減少させる可能性が示唆された.