日本外科系連合学会誌
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症例報告
術前診断しえた侵襲性血管粘液囊腫の1例
久田 将之勝又 健次河北 英明石崎 哲央高木 融土田 明彦青木 達哉佐藤 永一
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2012 年 37 巻 6 号 p. 1147-1152

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抄録

症例は57歳男性.
殿部の違和感および腫瘤触知にて外来受診された.
骨盤CTでは,内部均一な造影効果に乏しい腫瘤性病変として描出された.
骨盤MRIにおいて腫瘍内部はT1強調画像で低信号,T2強調画像では高信号に層構造状の低信号として描出された.また,腫瘤は前立腺,直腸右側壁に接するように存在し,肛門挙筋を圧排する長径10cm大の腫瘤を認めた.骨盤MRIで侵襲性血管粘液囊腫(aggressive angiomyxoma)(以下AAM)に特徴的な所見を認めたため超音波ガイド下にて経皮的組織診を行いAAMと診断した.
手術は経会陰的に施行し,経皮的組織診を行った皮下組織を含めまた肛門挙筋と尿管を温存し腫瘍切除術を行った.術後18カ月局所再発の所見なく経過観察中である.
AAMは良性軟部腫瘍と位置づけられているものの局所浸潤性で再発をきたしやすいため術前診断の重要性が示唆された.

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© 2012 日本外科系連合学会
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