2013 年 38 巻 4 号 p. 785-789
乳腺原発扁平上皮癌は稀な癌である.われわれは急速に進行増大した乳腺扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は56歳,女性.右乳房腫瘤と乳房痛を主訴として来院した.右乳房に6cm大の腫瘤を触知し,切開生検にて乳腺原発扁平上皮癌と診断され,乳房切除術が施行された.病理組織学的所見はER陰性,PgR陰性およびHER2陰性であった.Epidermal growth factor receptor(EGFR)は陽性であった.術後早期に胸壁再発がみられたため,胸壁への放射線照射および,全身化学療法としてcapecitabine/cisplatin療法とdocetaxel療法を施行したがいずれも奏効せず,腫瘍は胸壁の広範囲に浸潤増大し,術後9カ月目に永眠された.