日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
脾炎症性偽腫瘍の1例
皆川 幸洋
著者情報
キーワード: 炎症性偽腫瘍, 脾臓
ジャーナル フリー

2013 年 38 巻 4 号 p. 905-908

詳細
抄録

脾臓の炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor,以下IPT)は稀な疾患である.特徴的な画像所見がなく,術前診断は困難であると一般的に言われている.診断的治療として脾臓摘出術が行われることが多い.今回われわれは,症例は73歳,男性.近医に高血圧症にて通院中,腹部エコーにて脾臓に腫瘍を指摘された.腹部CTにて40mm大の腫瘍を認め6カ月後のCTで増大傾向を認めるため手術目的に当科紹介となった.某年脾臓摘出術を施行した.病理組織学的には,脾臓内に境界不明瞭な不整形の腫瘍性病変を認め大型組織球の結節性増生巣を認め組織球はCD68陽性,一部S-100陽性であった.結合織は線維状で,網目状を示し増生しており反応性結節性組織球増殖性病変と考え広い意味での炎症性偽腫瘍との診断を得た.

著者関連情報
© 2013 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top