日本外科系連合学会誌
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症例報告
声帯麻痺の評価に体表エコーが有用であったOrtner症候群の1例
藤田 俊広八代 享曽我 直弘
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2015 年 40 巻 1 号 p. 154-157

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抄録

1897年に僧帽弁狭窄症に伴い左反回神経麻痺による嗄声を呈した2例をOrtnerが報告し,Ortner症候群と呼ばれるようになった.エコーが診断に有用であったOrtner症候群の1例を経験したため報告する.症例は83歳,女性.胸痛を認め胸部CT検査で胸部大動脈瘤切迫破裂と診断され入院となった.安静加療にて症状は消失した.嗄声を認め体表エコーを施行したところ左声帯が固定しており,喉頭ファイバーでも同様であった.大動脈瘤の増大に伴い左声帯麻痺が出現し,他の病因は否定的であることからOrtner症候群と診断した.メコバラミンの投与を開始し1カ月後に体表エコーで再評価したが改善はなかった.3カ月後に大動脈瘤破裂により永眠された.体表用プローベを使用すると声帯は高エコーの弁として描出され,声帯麻痺症例では固定し動きがない.体表エコーは簡便で苦痛を伴わない利点があり声帯の評価に有用と考えられた.

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© 2015 日本外科系連合学会
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