日本外科系連合学会誌
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原著
女性の前方痔瘻に対するseton変法の臨床的有用性
徳永 行彦佐々木 宏和
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キーワード: 女性, 前方痔瘻, seton
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2015 年 40 巻 4 号 p. 651-655

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抄録

女性の肛門管前方の痔瘻は低位筋間痔瘻で単純な形態をとることが多いが,女性の肛門前方は括約筋や腱の形成が薄いので,手術において注意が必要である.女性の前方痔瘻に対してseton変法を施行したので,その臨床的有用性について報告する.2010年1月から2012年12月まで,女性の前方痔瘻5例(年齢24~45歳)を経験した.主訴は会陰部痛や肛門痛,排膿であった.一次口は肛門管前方の歯状線にあり,瘻管は前方に伸びていた.内2例では炎症や膿瘍が会陰や外陰部に及んでいた.瘻管を二次口から括約筋まで切除した上で,ゴムバンドを留置・結紮してseton変法を施行した.手術時間は平均14分,入院期間4日であった.痔瘻は治癒し合併症や再発を認めていない.Seton変法は女性の前方痔瘻の術式として有用であると考えられた.

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