2015 年 40 巻 4 号 p. 781-785
大腸憩室穿通は大腸憩室穿孔と異なり,必ずしも外科的治療を行わずとも保存的治療で治癒が可能である.今回われわれは①汎発性腹膜炎所見を呈していない,②血行動態が安定している,③腸管内容物(便塊,便汁)の腸管外への逸脱所見がない,④膿瘍を形成していない,⑤症状に合わせて短期間に複数回画像診断や血液検査を行い,炎症の増悪傾向がないことが確認できる,という条件を満たしている大腸憩室穿通2症例に対して抗菌薬による保存的治療を行い良好な臨床経過を得た.適応を限定すれば大腸憩室穿通は保存的治療が可能であると考えられた.