日本外科系連合学会誌
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症例報告
胆管癌術後の血液透析患者に発症したG群β溶血性連鎖球菌によるtoxic shock-like syndromeの1例
鈴村 和大末岡 英明飯室 勇二平野 公通岡田 敏弘麻野 泰包渡邊 隆弘塚本 吉胤廣田 誠一藤元 治朗
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2015 年 40 巻 4 号 p. 796-801

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抄録

劇症型溶血性連鎖球菌(溶連菌)感染症(Streptococcal toxic shock-like syndrome:TSLS)は急速にショックから多臓器不全にいたる極めて予後不良な疾患である.TSLSは主としてA群溶連菌によって引き起こされるが,それ以外の菌種によるTSLS様の報告例もみられる.今回われわれはG群溶連菌によるTSLS様の症状を呈した症例を経験したので報告する.
症例は72歳の女性で,平成18年に慢性糸球体腎炎からの腎不全にて血液透析を導入.平成25年9月に中下部胆管癌に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行.その後外来経過観察中に黒色便を認めたため当院入院.吻合部潰瘍の診断でPPIにて加療中,突然の意識レベル低下を認め,血液検査上DICおよび敗血症であると考えられた.ICU入室にて抗生剤およびγ-グロブリン製剤の投与,さらに持続的血液濾過透析およびエンドトキシン吸着を行うも急速に全身状態が悪化し,翌日に死亡した.後日,血液よりG群溶連菌であるStreptococcus dysgalactiaeが検出された.

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© 2015 日本外科系連合学会
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