2015 年 40 巻 5 号 p. 1019-1023
症例は83歳男性.食道扁平上皮癌に対して非開胸食道抜去術+後縦隔胃管再建+腸瘻造設術を施行した.無症状であったが術後第5病日の胸部単純X線検査で左肺野に腸管ガス像を認めた.胸腹部CT検査を施行したところ横行結腸が左胸腔内に脱出しており,食道裂孔部間隙から腸管が脱出したと診断し緊急手術を施行した.術中所見では,食道裂孔部間隙から横行結腸が左胸腔内に脱出していた.脱出した横行結腸に血流障害や周囲組織との癒着は認めず,容易に腹腔内に還納できた.横行結腸間膜と肝三角靭帯を用いて食道裂孔部間隙をパッチ閉鎖し手術を終了した.術後にたこつぼ型心筋症を認めるも保存的加療にて軽快し,ヘルニア術後第44病日で退院となった.