2015 年 40 巻 5 号 p. 954-960
今回われわれは,左側胆囊胆管結石症に対し,腹腔鏡下胆囊摘出術(LC)を行った1例を経験したので報告する.症例は65歳女性.心窩部痛を主訴に来院.肝酵素逸脱を認め,精査目的で入院となった.腹部造影CT検査,磁気共鳴膵胆管造影検査(MRCP),内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査(ERCP)で胆囊壁肥厚,胆囊内結石,総胆管結石像を認めた.門脈臍部から門脈右枝が分岐し,胆囊の肝左葉への付着を認め左側胆囊(LSG)を疑った.内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)を行い,総胆管結石を摘出し一時退院後,LCを行った.手術は通常当院で行っている4ポートで開始した.胆囊管は総胆管右側に合流し,胆囊底部は肝外側区域に付着しているLSGであった.底部の剝離を先行し肝門部まで剝離するとCalot三角の展開が可能となり,追加ポート挿入なく胆囊を摘出した.LCを安全に行うために術前に胆囊の位置異常を正確に診断し,胆囊管や胆管,門脈の走行を確認する必要がある.