日本外科系連合学会誌
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症例報告
WDHA症候群を呈した膵頭部VIP産生腫瘍の切除例
門野 賢太郎河本 和幸
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キーワード: WDHA症候群, VIPoma
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2015 年 40 巻 5 号 p. 961-966

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抄録

症例は65歳女性,受診4カ月前より下痢と体重減少が出現した.血液検査にて低K血症,膵vasoactive intestinal polypeptide(以下,VIPと略記)の上昇,腹部CTにて膵頭部に40mm大の多血性の腫瘤を認め,VIP産生膵内分泌腫瘍と診断した.2009年11月幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.免疫染色にてVIP染色陽性であり,組織学的にVIP産生膵内分泌腫瘍と最終診断した.術後,下痢,低K血症は軽快し,血中VIP値は低下した.術後3年9カ月再発を認めていない.VIP産生腫瘍は難治性水溶性下痢,低カリウム血症,胃無酸症の三徴などを呈する稀な腫瘍である.切除術により良好な経過を得た膵VIP産生腫瘍の1例を経験したので報告する.

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© 2015 日本外科系連合学会
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