日本外科系連合学会誌
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症例報告
胃癌術後の低栄養患者に発症した気腫性膀胱炎の1例
甲田 貴丸中崎 晴弘長谷部 行健種村 宏之船橋 公彦
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2015 年 40 巻 5 号 p. 984-987

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抄録

気腫性膀胱炎はガス産生菌が膀胱壁内および腔内に感染しガスが貯留する膀胱炎で比較的稀な疾患である.
症例は76歳女性,胃癌にて胃全摘術後,外来通院中に食欲不振の訴えにて精査目的に入院.入院後38.2℃の発熱,嘔吐を認め,血液生化学検査結果にてWBC21,870/μl,CRP2.5mg/dlと炎症反応の高値を認めた.腹部CT検査にて膀胱壁内に含気像を認め気腫性膀胱炎と診断した.尿道留置カテーテルを留置しパズフロキサシンメシル酸塩(PZFX)を3日間投与,治療開始翌日には解熱,2日目には血液生化学検査にて炎症反応改善,10日目に再検したCT像にて膀胱壁の含気像は改善,尿培養で菌も陰性化していた.
気腫性膀胱炎は糖尿病や担癌患者などの免疫機能低下患者に発生することが多いと言われ,抗生剤の適切な使用により予後は良好とされるが,敗血性ショックおよび多臓器不全を合併する重症例も報告されている.
気腫性膀胱炎はCompromised hostにおける発熱の原因の一つとして,念頭に置く必要があると思われた.

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© 2015 日本外科系連合学会
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