日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
肺過誤腫を併発した進行乳癌の1例
長島 沙樹櫻井 健一鈴木 周平安達 慶太榎本 克久天野 定雄
著者情報
キーワード: 乳癌, 肺過誤腫
ジャーナル フリー

2015 年 40 巻 6 号 p. 1085-1089

詳細
抄録

症例は38歳,女性.左乳房の石灰化を前医で経過観察されていた.3カ月前より同部位に腫瘤が出現し,針生検を施行,浸潤性乳管癌であり,当科を紹介受診した.初診時,左乳房AC領域に5cm大の腫瘤と同側の腋窩リンパ節を触知した.超音波検査では,同部位に46mmの腫瘍と,腋窩に36mmのリンパ節腫大を認めた.胸部CTでは右肺に10mmの結節を認め,肺転移が疑われた.化学療法を施行したところ,乳房腫瘍および腋窩リンパ節には縮小を認めた.肺結節に変化がなかったため,胸腔鏡下に摘出術を施行したところ,過誤腫の診断であった.その後,化学療法を継続し,胸筋温存乳房切除術および腋窩リンパ節郭清術を施行した.現在,術後3年が経過したが,転移再発なく,内分泌療法を継続している.肺転移を疑う結節が単発性であり,原発巣に化学療法の効果があるにも関わらず,積極的に組織診断を行うことを考慮すべきであると考えられた.

著者関連情報
© 2015 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top