日本外科系連合学会誌
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症例報告
確定診断前のメトロニダゾール(MNZ)投与が奏効したアメーバ性肝膿瘍の1例
河合 賢二森本 芳和弓場 健義赤丸 祐介山崎 芳郎
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2016 年 41 巻 1 号 p. 110-115

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抄録

アメーバ性肝膿瘍による敗血症に対して,診断確定前にメトロニダゾール(MNZ)の投与を開始し救命しえた1例を経験した.症例は48歳,男性.全身倦怠・発熱を主訴に前医を受診し,肝S6とS8に肝膿瘍を認め,セフメタゾール(CMZ)投与を開始されるも膿瘍は増大を認めた.経皮的穿刺吸引を施行したところ筋性防御を伴う腹痛と持続する発熱を認めたため当院に搬送転院となった.敗血症による呼吸不全を認め,緊急で開腹ドレナージ術を施行し,術後は人工呼吸器を含むICU管理を行った.また,発熱の遷延・炎症反応高値の持続を認めたため,アメーバ性肝膿瘍である可能性を考慮し,術後3日目に血清アメーバ抗体検査(間接蛍光抗体法)施行と同時にメトロニダゾールの投与を開始した.投与2日後より,全身状態は著明に改善し,術後7日目には呼吸器管理から離脱した.術後13日目には血清アメーバ抗体の陽性が判明し,37日目に軽快退院した.

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© 2016 日本外科系連合学会
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