日本外科系連合学会誌
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症例報告
α-fetoprotein産生大腸癌の1例
原田 宏輝安井 信隆冠城 拓示関 博章坂田 道生松本 秀年嶋田 昌彦
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キーワード: α-fetoprotein, AFP, 大腸癌
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2016 年 41 巻 1 号 p. 58-62

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抄録

症例は60歳代女性,右下腹部痛を主訴に紹介受診となった.身体所見にて右下腹部に腫瘤を触知し,採血検査ではCEA 1,833ng/mlと高値を示した.大腸内視鏡検査上,盲腸部に全周性のType2病変を認め,生検では中から高分化管状腺癌の診断となった.盲腸癌の診断にて回盲部切除術を施行.病理検査所見で,一部に腺扁平上皮癌の組織像を認めた.また,淡明な胞体を有する腺管構造を一部に認めたためα-fetoprotein(以下,AFP)の免疫染色を行ったところ陽性でありAFP産生大腸癌と診断した.消化管悪性腫瘍で時にAFPが上昇することは胃癌や胆道癌において報告がされている.しかし,AFP産生大腸癌の報告は比較的稀であり,診断時には既に肝転移を伴う症例が多く,予後は不良であるとされている.今回,われわれは非常に稀なAFP産生盲腸癌の1例を経験したので報告する.

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© 2016 日本外科系連合学会
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