日本外科系連合学会誌
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臨床経験
内視鏡下食道癌手術における後縦隔経路胃管挙上法の工夫とその有用性─従来法との比較検討において─
萩原 信敏松谷 毅野村 務藤田 逸郎金沢 義一柿沼 大輔菅野 仁士山下 直行内田 英二
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2016 年 41 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

目的:内視鏡外科手術の普及に伴い食道癌に対して胸腔鏡下食道切除を行う施設は増加している.しかし,内視鏡下手術では従来の手術法と異なった手術操作の工夫が必要となる.今回,食道癌における内視鏡下手術時の新たな後縦隔経路胃管挙上法を考案した.方法:食道癌に対して胸腔鏡下食道切除,腹腔鏡補助下胃管作成を施行した37症例を対象とし,従来から行ってきた後縦隔経路胃管挙上法(従来法,14例)と新たな胃管挙上法(ビニールトンネル法,23例)で,挙上時に生じた偶発症の内訳と発生率を比較した.結果:従来法では3例(21.4%)の偶発症(右気管支動脈損傷,胃管捻れ,牽引テープの断裂)が生じた.一方,ビニールトンネル法では偶発症を認めなかった.結語:内視鏡下食道癌手術時の小開腹創から頸部への後縦隔経路胃管挙上において,ビニールトンネル法は安全かつ極めて簡便に施行可能であり実臨床で有用な手技と考えられた.

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© 2016 日本外科系連合学会
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