日本外科系連合学会誌
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症例報告
停留精巣に合併し特異な進展形式をとった巨大成人鼠径ヘルニアの1例
本庄 薫平 塚本 亮一青木 順高橋 里奈宗像 慎也丹羽 浩一郎杉本 起一小島 豊五藤 倫敏坂本 一博
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キーワード: 鼠径ヘルニア, 停留精巣
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2016 年 41 巻 2 号 p. 262-266

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抄録

症例は60歳台,男性.検診で貧血を指摘され,大腸内視鏡検査でS状結腸癌と診断され,紹介受診となった.腹部所見で右下腹部から側腹部に拡がる30cm大の巨大な腫瘤を認めた.腹部CT検査で,右鼠径部から側腹部に小腸の脱出がみられ,右鼠径ヘルニアと診断した.
また,右鼠径部に精巣が同定され,右停留精巣と診断した.以上より,S状結腸癌に対するS状結腸切除術と同時に右鼠径ヘルニア修復術,右精巣摘出術を施行した.腹腔鏡所見では右外鼠径ヘルニアで,小腸がヘルニア門から脱出していた.まず,小腸の還納を試みたが癒着が強く還納不能であり,開腹移行し癒着剝離を行った.続いて,前方アプローチによるLichtenstein法で鼠径ヘルニアを修復し,精巣摘出術も行った.その後S状結腸切除術を施行した.自験例では停留精巣を伴っていたため,精索が陰囊まで続かず,右下腹部から側腹部の皮下までヘルニア囊が拡がったと考えられた.

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© 2016 日本外科系連合学会
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