日本外科系連合学会誌
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症例報告
術前診断が困難であった成人結腸重複症に対して腹腔鏡補助下に摘出した1例
大原 佑介 永井 健太郎釼持 明稲川 智山本 雅由大河内 信弘
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2016 年 41 巻 4 号 p. 652-657

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抄録

症例は66歳,男性.近医で胸部異常陰影を指摘され当院に紹介された.胸部単純CTで横行結腸間膜に腫瘤を認めたため精査の方針となった.腹部造影CTでは横行結腸間膜に3cm大の造影効果の乏しい石灰化を伴う囊胞性腫瘤を認め,中結腸動脈に近接していた.GISTや神経鞘腫を鑑別に挙げたがいずれも決定的ではなく,横行結腸間膜腫瘍の診断にて腹腔鏡補助下腫瘍摘出術を施行した.鏡視下で右側結腸を授動した後,小開腹創をおき腫瘍を確認し,腫瘍の流入血管を切離し摘出した.肉眼的に摘出検体は最大径39mmの囊胞状腫瘤であった.病理組織学的に腫瘍の囊胞壁に大腸粘膜上皮と平滑筋層を含む大腸成分を認めたが,本来の大腸との連続性を認めず,球状型・非交通性の横行結腸重複症と診断された.大腸重複腸管は比較的稀であり,術前診断は困難とされている.また近年では腹腔鏡下手術の症例報告も認められ,文献的考察を含めて報告する.

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© 2016 日本外科系連合学会
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