日本外科系連合学会誌
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症例報告
胃空腸吻合+Braun吻合術後に腸重積症をきたした1例
白鳥 史明本田 善子島田 英昭金子 弘真島田 長人
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2016 年 41 巻 5 号 p. 755-761

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抄録

症例は72歳女性.30年前に胆石症の手術を施行されており,術後通過障害を呈したことから胃空腸吻合術が施行されていた(詳細不明).また慢性腎不全で血液透析中である.今回,肺炎の治療中に腹痛と嘔吐が出現した.腹部単純CT検査で腸重積症が疑われ,上部消化管造影検査を施行したところBraun吻合を介した腸重積と診断した.胃管挿入による腸管内減圧で腹部症状は軽快した.2日後に再度腹部単純CT検査と上部消化管造影検査を施行したところ,腸重積は完全には解除されていないと判断し手術を施行した.術中所見ではすでに腸重積は解除されていたが,Braun吻合部周囲の輸出脚腸管が著明に拡張しており同部位が重積腸管と判断した.再発予防としてBraun吻合部位を含めて拡張腸管を切除し,Roux-en-Y再建に変更した.術後は経過良好で第16病日で退院となった.

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© 2016 日本外科系連合学会
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