日本外科系連合学会誌
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症例報告
SOX療法による術前化学療法が奏効した進行胃癌の1例
宇高 徹総山本 澄治中村 哲也黒川 浩典宮谷 克也
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2016 年 41 巻 5 号 p. 762-767

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抄録

進行胃癌に対する術前補助化学療法は有望な治療法の一つである.SOX療法後に幽門側胃切除術を施行し,組織学的に奏効した1例を経験したので報告する.症例は81歳,女性.貧血を指摘され当院に紹介となった.上部消化管内視鏡検査で幽門前庭部後壁に3型進行胃癌を認めた.生検の結果,高~中分化腺癌であった.進行胃癌(cT4aN2M0,Stage ⅢB)と診断し,SOX療法による術前化学療法を外来で2コース施行した.副作用は軽微であった.CT検査で原発巣およびリンパ節腫大は縮小していた(PR).化学療法後にD2郭清を伴う幽門側胃切除術を施行した.病理組織検査の結果,リンパ節は腫瘍成分が消失しており,原発巣は粘液貯留の中にごくわずかな腫瘍胞巣浮遊を認めるのみであった(ypT2N0M0).化学療法の効果判定はリンパ節に関してはGrade 3,原発巣に関してはGrade 2であった.術後経過は良好で,術後4カ月の現在,再発を認めず経過観察中である.

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© 2016 日本外科系連合学会
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