日本外科系連合学会誌
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症例報告
単孔式腹腔鏡下手術を施行した無症候性胆囊結腸瘻の1例
小泉 範明高木 剛
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キーワード: 胆囊結腸瘻, 腹腔鏡, 単孔式
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2016 年 41 巻 5 号 p. 797-802

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抄録

単孔式腹腔鏡下手術によって根治しえた無症候性胆囊結腸瘻の1例を経験した.症例は74歳,女性.自覚症状は認めなかったが,腹部超音波検査で胆囊結石を指摘され当院を紹介受診された.腹部CTおよびMRCPにおいて胆囊底部と横行結腸との境界が不明瞭であり胆囊結腸瘻が疑われた.胆囊内部には多数の結石も認められた.以上より胆囊結石症,胆囊結腸瘻と診断し手術の方針となった.2mmの細径鉗子を併用した単孔式腹腔鏡下手術を施行し,胆囊摘出および横行結腸部分切除を行った.合併症なく経過され,術後8日目に軽快退院された.内胆汁瘻の中では胆囊結腸瘻の頻度は少ないものの,可動性のある横行結腸と瘻孔を形成している例が多いため腹腔鏡下手術が行いやすい疾患であると考えられ,臍部小切開による単孔式腹腔鏡下手術でも根治が可能であった.胆囊結腸瘻に対する単孔式腹腔鏡下手術はより低侵襲な治療法であり,術式の選択肢の一つとなりうると考えられた.

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© 2016 日本外科系連合学会
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