日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
腹腔鏡手術を施行した直腸S状部子宮内膜症の1例
植木 智之園田 寛道清水 智治三宅 亨生田 大二竹林 克士貝田 佐知子飯田 洋也山口 剛谷 眞至
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 42 巻 1 号 p. 78-84

詳細
抄録

症例は45歳女性.左下腹部痛を主訴に紹介受診となった.下部消化管内視鏡検査では,直腸S状部に狭窄所見を認めたものの,粘膜面に上皮性変化を認めず,生検では炎症細胞浸潤のみであった.また,腹部造影CT検査・骨盤部MRI検査では,子宮頸部背側に境界不明瞭で不整な腫瘤像を認めた.臨床経過・検査所見により,腸管子宮内膜症を強く疑ったが,通常内視鏡が通過困難なほどの狭窄をきたしている点を考慮して腹腔鏡下高位前方切除術を施行した.病理組織学的検査では粘膜下層・固有筋層・外膜組織内に子宮内膜腺と子宮間膜の両成分を認めた.術後経過は良好で術後9日目に退院となった.腸管子宮内膜症における腹腔鏡手術は,従来の開腹手術より低侵襲で詳細に腹腔内を観察することが可能であり,有用であると考えられた.

著者関連情報
© 2017 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top