日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
経皮経肝胆囊ドレナージ後に待機的手術を施行した急性気腫性胆囊炎の2例
松崎 太郎小川 正文伊藤 厳太郎高垣 敬一福岡 達成山本 時彦
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 42 巻 1 号 p. 91-96

詳細
抄録

症例1は66歳男性.倦怠感,食思不振にて当院救急搬送された.腹部CTにて気腫性胆囊炎が疑われ,緊急で経皮経肝胆囊ドレナージ(percutaneous transhepatic gall bladder drainage:PTGBD)を施行した.第11病日にPTGBDチューブをクランプし退院した.胆囊炎が再燃し,クランプ開放し第37病日に開腹胆囊摘出術施行した.病理診断は急性胆囊炎であった.

症例2は60歳男性.上腹部痛にて紹介受診となった.腹部CTにて気腫性胆囊炎を認め,緊急でPTGBDを施行した.第11病日にPTGBDチューブをクランプしたが胆囊炎が再燃し,第19病日に腹腔鏡下胆囊摘出術を行った.病理診断は急性壊死性胆囊炎であった.いずれも胆汁の細菌培養でClostridium perfringensが検出された.術後経過は順調で,それぞれ術後15日目と8日目に退院となった.

気腫性胆囊炎はガイドライン上,特殊な急性胆囊炎に分類され重篤な状態に陥りやすいと言われており,重症胆囊炎に分類される合併症を有するハイリスクな症例ではPTGBDも有用であると考えられた.

著者関連情報
© 2017 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top