日本外科系連合学会誌
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症例報告
小腸癌と虫垂癌の重複癌の1例
浦野 尚美三方 彰喜水谷 伸
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キーワード: 小腸癌, 虫垂癌, 重複癌
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2017 年 42 巻 2 号 p. 207-211

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抄録

今回われわれは,小腸癌と虫垂癌が重複した非常に稀な症例を経験したので報告する.症例は84歳男性.下痢,嘔吐,便秘,腹部膨満感を主訴に近医を受診した.その後当院紹介受診され,腸閉塞の診断にて入院となった.イレウスチューブを挿入後症状は改善したが,手術歴のない腸閉塞であり,CT検査にて回腸に閉塞起点を認め,腫瘍性病変が原因である可能性が考えられたため,手術適応と判断した.回腸末端から約60cmの部位に腫瘍を認め,腸間膜に浸潤し腫瘤を形成し,さらにその近傍の腸間膜に虫垂の尾部が癒着していた.術中は小腸癌の小腸間膜と虫垂への浸潤と判断し,回腸部分切除と虫垂切除術を施行した.しかし.病理組織診断では回腸が中分化型腺癌,虫垂が粘液性高分化型腺癌で,総合的にそれぞれ原発癌と判断した.

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© 2017 日本外科系連合学会
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