2017 年 42 巻 5 号 p. 860-863
比較的稀とされる転移性陰茎癌は現在本邦137例を数えるが,そのうち腎細胞癌からの転移は稀である.症例は86歳の男性で左腎細胞癌に対し左腎部分切除術を施行後15年して亀頭部に直径約15mmの乳頭状の突出した無痛性腫瘤に気づき当院泌尿器科外来を受診した.切除した腫瘍組織の免疫染色で腎細胞癌からの転移と診断された.高齢で自覚症もなかったため追加治療は行わず経過観察とし,術後3カ月で特に異常を認めていない.本邦における腎癌陰茎転移は自験例を含め9例のみの報告であったため,貴重な症例と思われ報告する.