2017 年 42 巻 6 号 p. 1052-1056
症例は27歳の男性.開腹歴はないが,約3年前から腸閉塞を繰り返していた.3回の入院歴があり,いずれもlong tubeで保存的に改善していた.腸閉塞の原因精査のために当院消化器内科に紹介となり,小腸内視鏡検査を施行した.回腸に二方向の管腔を認め,メッケル憩室が腸閉塞の原因と考えられたため,当科に紹介となり,手術を施行した.回腸末端から約100cmにメッケル憩室が存在し,その先端が隣接する回腸に癒着し,loopを形成し,内ヘルニアをきたしていたことから,メッケル憩室の炎症性癒着による腸閉塞と診断した.小開腹下に憩室切除術を施行した,病理学組織学的診断は,固有筋層を有する真性憩室の像で,メッケル憩室として矛盾しない像であった.術後経過は良好であり,その後腸閉塞の再発は認めていない.今回,メッケル憩室による内ヘルニアが原因で腸閉塞を発症した1例を経験したので報告する.