2017 年 42 巻 6 号 p. 905-911
目的:2016年4月外側区域切除以外の腹腔鏡下系統的肝切除術が新たに保険収載された.新規に保険収載された腹腔鏡下系統的肝切除術の安全性・有用性を検証する.
方法:2016年4月から2017年3月までに,外側区域切除を除く完全腹腔鏡下系統的肝切除術を35例に施行した.2014年4月から2017年3月までに開腹系統的肝切除術を施行した64例と比較検討した.
結果:術中偶発症に伴う開腹移行は1例も認めなかった.対象疾患で両群間に差を認めたものの,その他患者背景に差は認めなかった.手術時間は開腹群で有意に短く(p=0.029),出血量は腹腔鏡群で有意に少なかった(p<0.001).腹腔鏡群で大きな合併症や周術期死亡は認めなかった.術後在院日数は腹腔鏡群で有意に短かった(p<0.001).
結語:腹腔鏡下系統的肝切除は安全に施行可能で,出血量の減少や術後早期回復などの利点も多く,今後標準術式となりうる.