2018 年 43 巻 1 号 p. 102-108
患者は75歳男性.既往歴はパーキンソン症候群.虫垂切除術.2016年3月に貧血を指摘され,原因精査にて腹壁浸潤を伴う盲腸癌と診断.術前化学療法として4月よりmFOLFOX6を合計4回施行し腫瘍縮小後,同年6月腹腔鏡補助下回盲部切除術,腹壁合併切除術施行し,右大腿筋膜張筋弁を用いて腹壁再建した.術後経過は良好で,合併症を認めることなく退院となった.
本症例では腹部正中に大きな切開創を残すことなく,浸潤部を詳細に観察し,腹壁欠損範囲を最小限に留めることができた.腹壁再建を要す腹壁浸潤盲腸癌では,腹腔鏡補助下手術が整容性の維持および術後疼痛緩和の上で有効と考えられた.