2018 年 43 巻 1 号 p. 36-41
症例は65歳男性.食道癌に対して食道亜全摘術・後縦隔経路胃管再建施行.術後3年目の上部消化管内視鏡検査で胃管下部に0-Ⅱa+Ⅱc病変を指摘され生検で高分化型腺癌の診断.cT1(SM)N0M0,cStage ⅠAの診断でESD施行したが,病変中心部は筋層浸潤が疑われESD断念となった.腫瘍は下縦隔に位置し画像上リンパ節腫大もなく,術式は口側胃管血流を考慮し右胃大網動脈の血流を温存した幽門側胃切除術・R-Y再建施行.術後合併症なく第14病日退院となった.後縦隔再建胃管癌の手術は侵襲性が高く,術後合併症も高率である.よって定期検査で早期発見することが肝要と思われる.