2018 年 43 巻 1 号 p. 88-92
症例は55歳男性.某年3月上旬より腹痛あり,前医を受診した.急性虫垂炎の疑いで抗生剤内服治療施行するも症状改善しないため同年4月8日当院受診となった.単純CTで小腸の重積を認め,イレウスを呈していた.造影CTで造影効果を伴う腫瘍性病変を認め,周囲には腫大したリンパ節を認めた.腸重積は解除されていたが,小腸腫瘍による腸重積が腹痛の原因であったと考えられ,同日腹腔鏡下回腸切除術およびリンパ節郭清術を施行した.病理検査で神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor,NET),G1と診断した.リンパ節転移を伴っていた.
小腸NETは消化管NETの中でも比較的稀であり,症状として通過障害による腹痛をきたすことが多いとされるが,腸重積に至る症例は少ない.
腸重積を契機とし,リンパ節転移を伴う小腸NETの診断に至った症例を経験したので報告する.