2018 年 43 巻 4 号 p. 629-632
腹腔鏡補助下手術を施行した回腸脂肪腫による成人腸重積症の2例を報告する.症例1,49歳女性.主訴:腹痛.腹部CT検査で腸重積症と診断されたが,自然寛解.その2カ月後,腸重積再発.保存的加療で重積の解除を確認後,小腸造影検査で回腸に隆起性病変を認めた.反復する腸重積に対して,腹腔鏡補助下回腸部分切除術を施行した.症例2,30歳女性.主訴:腹痛.腹部CT検査で腸重積症と診断された.CT検査で重積腸管内に脂肪腫を疑う腫瘤を認め,腹腔鏡補助下回腸切除術を施行した.2症例とも重積の先進部に黄色の隆起性病変を認め,病理組織検査で脂肪腫と診断した.成人腸重積症は器質的疾患が原因となることが多く,回腸脂肪腫も原因疾患の一つとされている.その診断には,CT検査が有用な場合がある.小腸は固定が少ないことから小開腹創からの手術も可能ではあるが,腹腔鏡を用いることで腸管を体外に引き出すことなく病変を同定できることから,腹腔鏡を用いることは有用と考えられた.