2018 年 43 巻 4 号 p. 712-718
症例は67歳の男性.多発肺転移を伴う甲状腺癌(低分化型)に対し両側頸部,縦隔リンパ節郭清を伴う甲状腺全摘術を施行された.局所再発や肺病変の増大なく経過していたが,術後8カ月の造影CT検査,造影MRI検査,PET-CT検査で肝S3/2に直径2cmの腫瘍が出現し,甲状腺癌の肝転移あるいは肝細胞癌が疑われた.肝転移病巣以外はソラフェニブにて制御されていると判断し,診断的治療を目的に腹腔鏡下肝外側区域切除術を施行した.摘出腫瘍は病理組織学的,免疫組織化学的検査の結果,甲状腺癌の肝転移と診断された.合併症なく術後12日目に退院となったが,肺転移巣の増大が確認されたため.レンバチニブ導入にて外来通院中であり,11カ月経過した現在,新たな再発病変は認めていない.