日本外科系連合学会誌
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症例報告
胆囊動脈瘤破裂に対して緊急動脈塞栓術後に待機的胆囊摘出術を施行した1例
坂本 譲砂原 正男加藤 紘一大野 陽介植木 伸也木村 純
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2018 年 43 巻 4 号 p. 726-733

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抄録

症例は89歳,男性.糖尿病,慢性心房細動,腹部大動脈瘤ステント留置後の既往があり,心窩部痛と嘔吐を主訴に前医を受診し,胆石性胆囊炎が疑われ当院へ搬送された.腹部造影CTにて,胆石,胆囊腫大および内部に血腫を疑う高吸収域と,胆囊底部に仮性動脈瘤の所見を認め,胆囊動脈瘤破裂による胆囊内出血と診断した.高齢者,多数の合併症,抗凝固薬内服中などの理由から緊急手術はリスクが高いと判断し血管内治療を優先した.緊急動脈塞栓術にて止血は得られ,保存的加療後当科退院となった.塞栓術から5カ月後に待機的胆囊摘出術を施行し,術後経過は良好であった.胆囊動脈瘤は胆道出血の原因疾患としては稀であるが,一旦発症すると緊急的な対応を要する.今回,高リスク症例に生じた胆囊動脈瘤破裂に対して緊急動脈塞栓術にて止血後,安全に待機的胆囊摘出術を施行した1例を経験したので報告する.

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© 2018 日本外科系連合学会
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