日本外科系連合学会誌
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症例報告
術前に診断した反復性膵炎を伴った管腔内型十二指腸憩室の1例
大住 渉藤岡 大也西口 完二川崎 浩資重里 親太朗豊田 昌夫内山 和久
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2018 年 43 巻 5 号 p. 823-831

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抄録

症例は48歳女性.15年前より急性膵炎に対し数回の入院歴がある.心窩部痛,腹部膨満感を主訴に当院を受診した.X-Pおよび血液検査データにて腸閉塞と急性膵炎と診断した.腹部CT上十二指腸下行脚で腸重積所見を認め,腸重積による消化管閉塞に対する減圧と膵炎の治療を行った.腸重積は保存的に自然解除されたが,上部消化管造影および内視鏡にて十二指腸下行脚管腔内に憩室を認めた.憩室による十二指腸狭窄部を先頭に腸重積を引き起こし,その機械的刺激によって膵炎をきたしていたと考えられた.十二指腸管腔の狭小化と腸重積再発予防を考慮し手術を行った.腸回転異常を併存していたのでLadd靭帯の切離と虫垂切除,および十二指腸憩室切除を行った.術後経過良好で第14病日退院となった.病理組織にて管腔内型十二指腸憩室と診断した.管腔内型十二指腸憩室の1例を経験したので文献学的考察を加えて報告する.

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© 2018 日本外科系連合学会
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