日本外科系連合学会誌
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症例報告
単孔式腹腔鏡手術を施行した小腸Inflammatory Fibroid Polypによる腸重積の1例
前田 文大木 岳志小川 真平井上 雄志山本 智子山本 雅一
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2018 年 43 巻 5 号 p. 838-844

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抄録

症例は73歳女性.主訴は腹痛.2週間前に腹痛が出現.近医を受診したが改善せず当院を受診し精査目的で入院となった.腹部は軽度膨満し左上腹部に圧痛があった.腹部超音波検査で腸管陥入像を,CT検査では左上腹部の空腸内腔に突出する腫瘤性病変を認め口側腸管は拡張していた.小腸腫瘍による腸重積,亜腸閉塞と診断,腹痛が増強したため単孔式腹腔鏡下小腸部分切除術を施行した.腹腔内を観察するとトライツ靭帯から約80cmに拡張した空腸,重積した腸管を認めた.重積腸管を体外へ誘導,用手的に解除した後に小腸を部分切除した.切除標本で40×35×25mmの弾性硬の隆起性腫瘍を認めた.病理組織学的にInflammatory Fibroid Polyp(以下,IFP)と診断された.術後経過は良好で術後第5病日に退院した.

小腸IFPは比較的稀な疾患だが成人腸閉塞の原因として鑑別にあげるべきであると考えられた.また小腸腫瘍は腹腔鏡手術の良い適応である.本症例は腸重積の状態であったが安全に手術可能だった.

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