日本外科系連合学会誌
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症例報告
膵頭十二指腸切除を施行した腺房細胞癌と神経内分泌腫瘍の膵併存腫瘍の1例
山中 千尋谷口 仁章三宅 泰裕森本 芳和
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2018 年 43 巻 5 号 p. 932-938

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抄録

症例は25歳,男性.下痢を主訴に近医受診.上部内視鏡検査にて十二指腸乳頭部近傍に腫瘍を指摘され,加療目的に当院を受診.腹部造影CTでは,膵頭部に10mm大の腫瘍を認め,生検にてGroup 5と診断した.膵頭部癌の診断下,膵頭十二指腸切除術を施行.病理組織診断では,腫瘍は腺腔を形成する腺房細胞癌部分と,大小不同の胞巣状構造をとる神経内分泌腫瘍の部分が存在し,両者は混在することなく,比較的明瞭な境界を有していた.免疫組織化学染色において,前者はトリプシン,後者はシナプトフィジンおよびクロモグラニンAが陽性で,腺房細胞癌と神経内分泌腫瘍が併存する膵併存腫瘍と診断した.神経内分泌腫瘍はホルモン産生細胞であるグルカゴン,インスリン,ソマトスタチンも陽性に染色された.胃排出遅延を認めたため入院が長期化し,38日目に退院した.第7版膵癌取扱い規約に則り,膵併存腫瘍の本邦報告例について報告する.

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© 2018 日本外科系連合学会
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