日本外科系連合学会誌
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症例報告
術前に診断しえた,小腸平滑筋肉腫の1例
小島 正継太田 裕之赤堀 浩也全 有美目片 英治
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2019 年 44 巻 6 号 p. 1045-1050

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抄録

症例は62歳,男性.糖尿病の定期検査で貧血を認め精査し,CTで長径6cmの小腸腫瘤性病変と周囲腸間膜リンパ節腫脹を認めた.カプセル内視鏡で小腸に粘膜下腫瘍を認め,小腸内視鏡で生検し,desmin陽性の紡錘形細胞の腫瘍性増殖を認め,小腸平滑筋肉腫と術前診断した.腹腔鏡補助下に小腸部分切除およびリンパ節郭清を施行した.免疫組織学的検査でc-kitとCD34陰性,caldesmonとdesminが陽性であり,小腸平滑筋肉腫と最終診断した.現在術後2年半が経過したが再発を認めていない.小腸間葉系細胞由来の腫瘍のなかで,小腸平滑筋肉腫は稀であり,その予後は遠隔転移も多く不良である.リンパ節転移の頻度も高く,領域リンパ節の郭清が必要と考えられる.術前に診断をした上で手術を施行した小腸平滑筋肉腫症例は,本邦で初めてであり,文献的考察を加えて報告する.

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© 2019 日本外科系連合学会
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