2019 年 44 巻 6 号 p. 1098-1103
症例1は87歳の女性で宿便性大腸穿孔に対してHartmann手術を施行した.術後6日目に口側腸管に残存した宿便による人工肛門脚部穿孔に対し緊急手術を施行した.人工肛門開口部から6cmに穿孔部を認め,結腸切除,人工肛門再造設を行った.初回手術後44日目に誤嚥性肺炎で死亡した.症例2は87歳の男性で肛門管癌に対して腹腔鏡補助下直腸切断術を施行した.術後2日目に宿便による人工肛門脚部穿孔に対し緊急手術を施行した.人工肛門開口部から4cmに穿孔部を認め,結腸切除,人工肛門再造設を行った.初回手術後85日目に転院した.人工肛門造設後の宿便性大腸穿孔は稀である.自験例のように初回手術時に残存した宿便による穿孔をきたした報告は本邦初である.人工肛門造設時には腸管吻合を行う際に比べて,口側腸管の便塊への注意が疎かになるが,残存する腸管に多量の宿便を伴う場合には,可能な限り宿便を排出することが重要である.