2023 年 48 巻 5 号 p. 543-549
症例は52歳,男性.直腸癌Rbに対し術前放射線化学療法後に開腹直腸切断術施行.病理組織学的にtub2>muc,ypA N0M0 StageⅡaと診断された.術後9カ月目にCEAが上昇.腹部造影CTにて左副腎に4cm大の造影効果を有する腫瘤を認め,PET/CT検査では左副腎にFDGの高集積を認めたが他臓器転移を認めず,異時性孤立性直腸癌左副腎転移と診断した.開腹左副腎摘出術を施行し,病理組織学的に直腸癌左副腎転移と診断された.
切除可能な副腎転移に対しては切除が推奨されているが,他臓器転移がみられるものは予後が悪く手術に加え,集学的治療が必要になる.孤立性転移と判断する上でPET/CTは感度,特異度も高く有用な検査の一つと考えている.現在,術後11年と長期無再発生存が得られており報告する.