2023 年 48 巻 5 号 p. 556-560
症例は84歳,女性.下腹部痛と嘔吐を主訴に当院へ救急搬送となった.血液検査では炎症反応の軽度上昇を認めた.腹部単純CT検査では胆囊は下垂し底部は偏位しており,胆囊壁は肥厚し周囲に浮腫性変化を認めた.造影CT検査では胆囊壁の造影不良と胆囊動脈のwhirl signを認め,胆囊捻転症と診断し,緊急で腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.術中所見では肝臓と腹壁の間に索状物が形成され,索状物により胆囊は頸部で絞扼されており,暗赤色に変色し腫大していた.胆囊はGrossⅠ型の遊走胆囊であった.絞扼部で時計回りに360度捻転しており,索状物による絞扼を伴った胆囊捻転症と診断した.絞扼を伴う胆囊捻転症の報告は稀であり,文献的考察を加え報告する.